おじいの活力源
病院で順番待ちをしていた。
長椅子、向こう隣りからビリビリと、
なにやら聞こえる。
気にせずメールチェックをしていたが、
度重なるビリビリが気になり
身を乗り出して隣を見てみた。
そのビリビリは白髪のおじいが、
週刊誌の袋綴じを破いている音だった。
妹アイドル。禁断の初脱ぎ。
小指の爪でキレいに破いてるおじい。
ビリビリビリビリ
「笑ってはいけない病院24時」だったら、
完全アウトだった我。
その後、繰り返し席を立ち
同種の雑誌を取り上げ、席に戻り
何度も何度も、何度も何度も禁断の点線に
爪をいれるおじいだった。
ビリビリビリ ビリビリビリ…
おじい、元気じゃないか!
病院に来る必要はないんじゃないか!
切れ味はおじいに劣るが、美しいハサミあります。
初稿 20120927