貸し切り。
小さな町の役場を定年まで勤めた父。
免許証には全てのチェックが入っている。
75歳になった彼はハーレーから
ショベルカーまで、運転出来るのだ。
とりあえずは…
以前、酔いがまわり
エンジンが温まった父が
「無事故、無違反だぞ。とーさんは」と
自慢げに免許証を見せてくれた。
今、その時の「とーさん」と同じ年代になった自分。
相変わらず酔いがまわりエンジンはかかる彼だが
以前よりは馬力がなくなってきている。
「目が薄くなった、薄くなった」と言っているし
実家の車も、僕がハンドルを握る事が多くなって
彼は助手席が殆どになった。
そんな彼、若きとーさんのスクールバスに乗った事を思い出す。
町内のイベントか?何かの帰りに乗った記憶…
ちょっと曖昧だが、貸し切りだった。たぶん。
とーさんが運転し、僕は信号で止まる毎に席を移動していた。
あの広い車内。なんと言っても貸し切りなのだ。
なんで、そんな事を思い出したのかわからない。
もしかしたら、勝手に感傷的になって
自分で話を作り上げているのかもしれない。

そんな、ミニカーあります。MAREBITO
2013年12月29日 父、永眠。(上記は2010.10.03にアップしたコラム)
初稿20141017