遠くからの便り。
ついさっきまでご飯を食べていたのに
気がついた時にはもう手遅れだった。
今年一番の悲しい出来事。
「テン」が死んだ事。
そんな彼女から便りが届いた。
我が家にやって来た時の若い彼女から。
引き出しの奥にずいぶんと長い間
眠っていたコンパクトカメラ。
ふと見ると、フイルムが入ったままの状態。
電池切れでフイルムが巻き上がらず
知り合いのカメラマンに
現像をお願いする事に。
もう、10年も前の事、
何が撮っているのか
全く記憶になかったが
まだ小さかった無邪気な「テン」が写っていた。
保護してすぐに撮ったであろう写真。
99.5.13の日付が付いている。
記憶にはない、新しい「テン」の姿。
…
こみ上げる感情を誤魔化すために
笑いながら何度も何度も
「だめだ泣きそうだ」と言って
誤摩化していた自分。
事情を察してか、神妙な面持ちの彼。
料金を払い店を出る。
もう夕方なのだが、湿度は下がらず、
気温も昼と変わらない。
眩しい西日が道路を照らしている。
僕は、バイクにまたがったママ
しばらくは動かず
遠くの青い雲を見つめいた
なんだか、やけに視界がぼやけている。
残暑見舞いだね。テン子ちゃん。
ありがと。
残暑見舞いだね。テン子ちゃん。ありがと。
▲ 17歳、人間だと84歳の「マメ」も写っていました。 初稿20100830