祭りのあと | MAREBITO古道具

祭りのあと

祭りのあと

朝からソワソワしている小学4年生の僕。
もちろん、授業など集中出来るはずもなく…
(一度も集中した覚えもなく…)
この日だけは小遣いを貰って、
夜遅くまで外にいられるのだ。
遅くといっても門限は8時と釘を刺されている。
さもないと、母が鬼になる。


小さな町にやってくる
年に一度の町民のお楽しみ。

夏祭り。

普段は誰もいない神社に集う大勢の人たち。
裸電球の灯りの中、綿菓子や甘いチョコレートのにおい。
笛や太鼓、若い娘の奇声やおばさんたちの艶のある笑い声。
襟元からのぞく的屋の青い肌と、法被姿の妖艶な首筋。
高校生カップルは鳥居裏の闇に消えていく…

退屈な日常のいつもとは違う妖艶な夜なのだが、
僕の時間は限られている。

門限が迫っている。

カップルを尾行する時間はもうない。
もう、小4の時間は終わりなのだ。

何よりも鬼が恐い。


次の日の早朝。

早起きの僕にビックリしていた、母。
なぜだか判らないが、自転車で神社へ走る。
朝露が濡らしている舗道を走る。
鳥居を抜けると、
    
地面に残る無数の足跡。    
簡易テントの型に踏みつぶされた雑草。    
トラックのタイヤ跡。    
ゴミの焼かれる匂いと、煙。


そこには、いつもの退屈な境内があるだけだった。

祭りはもう終わったのだ。



昨日、3日間のイベントが終了した。
幾人が徒歩5階に登頂し、
そして帰っていった。
また、いつもの空間になったMAREBITO。

今はただ次の表現者を待つ空間に…

そう、祭りはもう終わったのだ。
イベントが終わる度、いつも思い出す。あの境内の風景を。

▲ 日常から非日常へ誘ってください。MAREBITO主を。表現者募集中です。


初稿20150728

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