腰ガクのタイミング。
久々の電車通勤。
おじいが乗り込んで来た。
座っている僕を背に立つ。
とっさの行動が出来ず、
席を譲るタイミングを
外してしまった僕の目線も落着かず、
動悸も早くなる。
しまった、どうしよおぉ。
それは笑いのタイミングを外してしまい
言葉を飲み込んでしまった
間と一緒だ。
タイミングさえあえば、
今頃、大爆笑なのになぁ。と。
だがあえて、このタイミングでこのおじいを
笑かそううではないか!
笑わせすぎて、足腰をガクガクにしてやろう!
次の駅で降りるそぶりで立ち上がり、
おじいめがけて絶妙の間で声を掛ける(ツッコんで)いく。
どうぞ、どうぞ。
うむ。なかなかのタイミングだったな。
かっこいいぞ、俺!
向かいのOLも見ているぞ!
(きっと俺、ドヤ顔だ)が、
しかしおじいはガクガク(大爆笑)にならず。
さも、ふつーに。
席に座るのであった。
うーん。笑いは戻らなかった。
絶妙な僕のタイミングは
滑ってしまったのだ…
ふっと、頭の中で流れるる、
あのフレーズ。
エーシー♪
何だか、苛立たしい気分になった僕。
つり革を手にした、
哀しそうな自分が電車の窓の暗闇に映っていた。
おまえらも、滑らすぞ!
▲ オイル差しあります。MAREBITO
※初稿20110519 席を譲る広告機構エーシーのCMが流れていた頃のコラム