憤慨からの恋愛へ
相手の置かれている状況がわからず
自分勝手に妄想し気持ちが乱れ、
憤慨する事がある。
仕事ならなおさらの事
恋愛だと面倒だ
相手の状況が判ればドラマにもならないし
憤慨もする事もないのに。
なんだ、そんな事か!
で解決することが多い。
人間関係においては起こりうる事。
古道具においても起こりうる事。
方位磁石。
樹海で迷った時に役立つ方位磁石。
文字盤の美しさと、
安易な塗装にやられてしまった。
手にとる。
ん!
しかし、良く見ると
肝心の針が付いていない。
なんだ、こりゃ。
これじゃ、樹海で迷子になってしまうではないか!
騙されるところだった!残念。と、
商品台に戻そうとした時、
「 それ、まだ針付ける前のモノだよ。
針は無かったけどね… ぐぅふふふ 」
黄色い歯を見せながら笑う
古物業者のおじい。
!
そうだったのか!
針が紛失していたものではない。
初めから針は無かったのだ。
まだ、この子は樹海も未経験だし
針の機敏な働きを知らぬまま
僕の手の上に乗っているのだ。
うーん。
なんていとおしいのだ。
憤慨する自分が恥ずかしい。
彼女はまだ製造途中の方位磁石だったのだ。
(いい加減にしろ、擬人法)
▲針のない磁石、MAREBITOにて買えます!※初稿20101005