銀座線破壊好女 | MAREBITO古道具

銀座線破壊好女

銀座線破壊好女

私、もう我慢出来ないの。

ガサガサガサ
見たい、見たい!

ビリビリビリ
早く、早く!

バリバリバリ
見せて、見せて!

もう、セッカちだな、おまえは…

かんのー小説ではない。



銀座線に乗っていた僕。
表参道で隣に女性が座ってきた。
20代半ばだろうか。
黄色い紙袋
Tower Recordは確認出来たが、
さすがに顔は覗き込めない。

僕はまだ、ヘタレなおっさんなので、
ジロジロと顔を覗き込む事に、
恥じらいがある。

毛糸セーターの重ね着、厚ぼったい服装。
髪がぺったり長く、
地味な雰囲気を
醸し出している。

ぺったり髪の女、
ガサガサ袋からCDを取り出す。

パリパリセロハンを剥がす指、
ちょっとダークなネイル。

パカッ!

CDにはペンキが飛び散った様な書体。
BURSTやKILLの文字が並ぶ。
歌詞カードを眺め、
盤面チェックが終了!

重ね着な女、
すぐさま次のCDに取りかかる。

ガサガサパリパリパカッ!

やはり、そこにも血が滴る様な書体…
中指を立てた、
黒ずくめの男達が
チラリ見の僕を睨む!

( はい、次 )

ガサガサパリパリバカッ!

神経質に繰り返し行われた動作は
HMVの紙袋からも。



電車が九段下へ、
慌てて立ち上がるダークネイル。
ちらりと見えた横顔。
指を立てBURSTを聞く、
トゲのあるタイプではなかった。
あえて例えるのなら、
平安時代の麻呂顔だった。


うーむ。いかん、いかん!

またしても先入感。
まだまだ、若輩なのだな、おら。




5階だからエレベータがある!
その先入感は良くないぞ!


▲ 徒歩5階!登りなさいMAREBITO 登山靴用意!

※過去のコラムに加筆修正しています。初稿20100310

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