おばあと教習所。
おばあと「吸収女」の話。
いや、おばあと「教習所」の話です。
僕は信じていなかったのだが
故郷の教習所には
不思議なジンクスがあった。
我が身に降り掛かったのだから、
それは事実だった。
なぜか、賑わっていた田舎の教習所。
就職が決まった高校生が、
隣りの街から免許を取りにくる。
その町営の教習所に伝わるジンクス。
卒業検定の日に決まって、
車の前に飛び出してくる「おばあ」がいる。
もしや、教習所から
お金をもらっているのではないのか!
当たり屋か!と思う程、
その話は有名だった。
僕の時もそうだった。
試験官よりもさきにブレーキを
踏んだので大事には至らず、
無事免許は取れた。
僕は運が良かっただけで、
友人の場合「おばあ」の後に
「 犬 」まで飛び出して来たらしい。
当たり屋の犬。
ジンクスのオプションである。
その友人が再試験を受けたかどうかは記憶が無い。
だって、もう20数年も前の話なのだ。
あの車だな!飛び出すぞ!それ!
※初稿 2011年10月24日。