通勤電車の一人芝居 | MAREBITO古道具

通勤電車の一人芝居

通勤電車の一人芝居

通勤電車。

やけに大きな声で
おばさん達がしゃべっているな。
と思ったが…


それが違うと、すぐに気がついた。

おばさん “たち” ではなく、
50代の女性がひとりでしゃべっている!

車内は彼女の一人芝居の
ステージになっていたのだ!

いっこうに止まらない、彼女のおしゃべり。
やがて彼女の演目は
隣りの人へのクレームに変わっていた。

「マスクしていても風邪はうつるのよ… 云々」
「被害届は出せないの、うちの娘だって… 云々」

咳き込み、俯いるサラリーマンに
浴びせかけている一人芝居。


彼女、なぜか濡れ髪だ。

服装はさっぱりしているのだが
演目はこってりしていて、止まらない。
しかも、顔は真っ白でさっぱりしている。


ガターン、ゴトーン


一人芝居は止まらない。
僕の知らない、聞いた事もない統計なんかも
例にして続ける続ける。
途切れる事の無い台詞の数々…

濡れ髪の一人芝居は何駅も続く。


ガターン、ゴトーン


乗り合わせた観客たち…
落着かない目線を宙に浮かせたまま
一人芝居電車は都心へと向うのでした。<


ガターン、ゴトーン


肩に手を置かれていた、
あのサラリーマンに合掌!


※初稿20120116

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